

国と国との関係も友愛精神を基調にすべきです。なぜなら、「対立」ではなく「協調」こそが社会発展の原動力と考えるからです。
友愛革命の提唱者、リヒャルト・クーデンホフ・カレルギーは、汎ヨーロッパ主義を主張し続け、長い年月を経てEUを生みました。
欧州統一に比べると、歴史的、地理的、政治的により困難な作業を伴うと思いますが、東アジアに共同体を構想することは、歴史の必然ではないかと思います。なぜなら、急速に発展しつつある東アジアの地域が経済的な結びつきを高め、人的な交流が深まり、信頼関係が高まることは、単にこの地域のみならず、世界全体の経済安定性にもさらには安全保障体制にも大きく貢献すると考えられるからです。
日本はますます緊密に結びつきつつある東アジアを、我が国が生きていく基本的な生活空間ととらえて、この地域に安定した経済協力と安全保障の枠組みを創る努力を積み重ねていきます。

東アジア共同体構想を進めるためには、具体的な行動を起こすことが大事です。最終的には政治的、または安全保障上の共同体を目指すべきですが、まずは経済的、社会的、文化的な協力関係からスタートすることでしょう。
言うまでもなく、共に繁栄するための協力が最も喫緊の課題です。この地域全体の経済連携を進めるための有力な手段がEPA/FTAです。日本としては、現在、東南アジアの7カ国、ASEAN全体との間などで10カ国1地域の間でEPAを締結していますが、今後、韓国、インド、豪州との間でEPA交渉を加速していきたいと思います。通貨統合はまだまだ先の話です。
いのちを守るための協力も大事です。SARS、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザなどの感染症対策における協力、大規模な地震や台風などの自然災害に対する迅速な救援活動の仕組み作り、さらには海賊対策でももっと協力する体制を作る必要があるでしょう。アジアの各地で河川が汚れ、マングローブの林が失われていますが、地域環境問題の解決には鳩山イニシアチブが有効です。日本企業の優れた省エネ技術、スマートグリッドシステム、また水の浄化技術などを広く活用しながら、アジア全体を持続可能な成長に導くことが肝要です。


東アジア共同体構想を前進させる際に、最も大事なカギは「人」です。その意味において、教育分野における協力が極めて重要です。日中韓首脳会談において私が提唱しましたキャンパスアジア構想がいよいよスタートしました。3カ国の大学間で、工学系を中心として単位の互換性を認める試みが始まりました。将来はより多くの国が参加し、より多くの大学間でキャンパスアジアが広がることを期待しています。そのことによって、若い世代がアジアにおいて国境を殆ど意識しないで交流することができるのです。そのことは将来、アジア地域に存在しているいくつかの政治的な課題の解決につながると思います。