新憲法試案

統治機構の再編成(9/9)

統治機構に関する改正試案

第  章   政  党

第 条(政党)
日本国民は、自由に政党を設立する権利を有する。
2 政党は、国民主権と民主主義の原則を尊重しなければならない。 3 政党たる要件は、法律によって定める。
第 条(政党助成)
国は、法律の定めるところにより、政党運営に必要な資金を補助する。
2 政党は、法律の定めるところにより、その政治活動に関する資金の収支を公開しなければならない。
第 条(内閣総理大臣候補者の明示)
政党は、国会議員総選挙に際しては、内閣総理大臣候補としての党首及びその施政の基本方針を明示して臨まなければならない。

第  章   国  会

 
第 条(国会の地位)
国の立法権は国会に属する。
第 条(一院制)
国会は、全国民を代表する、選挙された議員で組織する一院で構成する。
2 国会議員の定数は、法律で定める。
第 条(議員及び選挙人の資格)
国会議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
第 条(国会議員の任期)
国会議員の任期は四年とする。但し、国会解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第 条(国会議員の選挙)
国会議員の選挙方法及び選挙区、その他国会議員の選挙に関する事項は法律で定める。
第 条(議員の歳費)
国会議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第 条(議員の不逮捕特権)
国会議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第 条(議員の発言表決の無答責)
国会議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第 条(通年国会)
国会の会期は、四月一日から、翌年の三月三十一日までとする。但し休会期間をおくことが出来る。
2 国会が解散された場合は当期の会期はその日をもって終了するものとし、総選挙後に召集された国会の会期は、その召集された日から三月三十一日までとする。
第 条(総選挙)
国会が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、国会議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
第 条(資格争訟)
国会は、その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第 条(議事の定足数と過半数議決)
国会は、その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 国会の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いて、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第 条(法律、予算、条約等の議決)
法律案は、国会で可決したときに法律となる。
2 予算及び条約締結の承認には、国会の可決を要する。
第 条(会議の公開と会議録)
国会の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 国会は、その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第 条(役員の選任及び議院の自律権)
国会は、議長その他の役員を選任する。
2 国会は、会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、国会内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第 条(憲法裁判所裁判官の指名)
憲法裁判所裁判官の指名には、出席議員の三分の二以上の多数による議決を要する。
第 条(議院の国政調査権)
国会は、国政に関する調査権を有する。これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求するときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第 条(憲法裁判所への提訴)
国会が、法律、条約、命令、規則又は処分について、その憲法適合性を判断するため、憲法裁判所に提訴するときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第 条(会計検査の要求)
国会が、具体的な国の事業について、その予算の執行が適正に行われているかについて会計検査院に調査を求めるときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第 条(国務大臣の出席)
内閣総理大臣その他の国務大臣は、国会に議席を有すると有しないとにかかわらず、何時でも議案について発言するため国会に出席することができる。又は、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第 条(弾劾裁判所)
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、国会の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
第 条(緊急事態宣言下における議員資格の特例)
内閣総理大臣が国家緊急事態を宣言したとき、国会議員の任期が満了又は解散している場合には、内閣総理大臣がこの憲法及び法律の規定に従って国家緊急事態宣言を解除するまでの間、前任者の任期を延長することとする。

第 章 内 閣

第 条(行政権の帰属)
国の行政権は、内閣総理大臣に属する。
第 条(内閣総理大臣の指名)
内閣総理大臣は、国会議員の中から、総議員の過半数の支持を得たものを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって行う。
第 条(内閣の組織と責任)
内閣総理大臣は、行政権を執行するため内閣を組織し、その構成員たる国務大臣、及び内閣総理大臣を補佐するために法律で定められた官吏を任免する権限を有する。
2 内閣総理大臣は、施政の基本方針を定め、これについて責任を負う。国務大臣は、内閣総理大臣の基本方針の範囲内において、独立してかつ自らの責任において、その所轄する事務を行う。
3 国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
4 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
5 内閣総理大臣は、事故あるときに備え、あらかじめその職務を代行する国務大臣を指名しておかなければならない。
6 内閣総理大臣は、行政権の行使について、国会に対して責任を負う。
第 条(内閣総理大臣の職務)
内閣総理大臣は、議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
2 内閣総理大臣は、その施政の基本方針に基づき、行政各部を指揮監督する。
3 内閣総理大臣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。
  • 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  • 二 外交関係を処理すること。
  • 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  • 四 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
  • 五 予算を作成して国会に提出すること。
  • 六 法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  • 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第 条(不信任決議と解散)
内閣総理大臣は、国会で不信任決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときにのみ、天皇に国会の解散を助言することができる。但し、十日以内に国会が解散されないときは、内閣総理大臣はその他の国務大臣とともに辞職しなければならない。
2 内閣総理大臣は、国会で、内閣総理大臣に対して国務大臣の罷免を要請する決議案が可決されたときは、その国務大臣を罷免しなければならない。
第 条(内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による辞職)
内閣総理大臣が欠けたとき、又は国会議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣総理大臣及びその他の国務大臣は辞職しなければならない。
第 条(辞職後の職務続行)
前二条の場合には、内閣総理大臣又は内閣総理大臣の職務を代行する国務大臣が、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
第 条(法律及び政令への署名と連署)
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第 条(国務大臣訴追の制約)
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
第 条(緊急事態への対処)
内閣総理大臣は、国家の存立と国民の生命の安全が危殆に瀕する恐れがある事態に際しては、法律の定めるところにより、国家緊急事態を宣言し、必要に応じて緊急命令を発布することができる。
2 内閣総理大臣が、国家緊急事態を宣言したときは、十日以内に国会の承認を得なければならない。
3 国家緊急事態宣言に際しては、その区域を定め、その期限を予め明示しなければならない。
4 国家緊急事態宣言の有効期間は、最大三十日とする。但し、国会の事前承認により、これを延長することが出来る。
5 内閣総理大臣は、国会が国家緊急事態を承認しなかったとき、又は国会が国家緊急事態の終了を議決した場合には、当該緊急措置を終了しなければならない。

第 章 国民投票

第 条(内閣総理大臣の国民投票実施権)
内閣総理大臣は、とくに必要と認めるときには、法律案又は条約案について、その議決の前に国民投票に付することができる。 但し、予算および租税に関する法律案については国民投票に付することはできない。
第 条(国会の国民投票の要求権)
内閣総理大臣は、国会の総議員の二分の一以上の議員の要求があるときは、法律案又は条約案について、その議決の前に国民投票に付さなければならない。
第 条(国民投票結果の拘束力)
国民投票に付された提案は、有権者の過半数が投票に参加し、有効投票の過半数の賛成を得たときに、可決されたものとする。
2 国会および内閣総理大臣は、国民投票の結果に拘束される。
3 国民投票の方法その他必要な事項は法律で定める。

第 章 憲法裁判所

第 条(憲法裁判所の違憲立法審査権)
憲法裁判所は、条約及び法律が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。
第 条(地方自治体と国の係争処理権限)
憲法裁判所は、地方自治体と国又は地方自治体相互の権限に関して、地方自治体の長又は内閣総理大臣から提訴があったときは、その当否を決定する権限を有する。
第 条(違憲立法審査の対象)
憲法裁判所は、左の場合に、憲法に適合するかしないかを審理し、決定する
  • 一、条約及び法律の憲法適合性について、内閣総理大臣又は国会からの提訴があったとき
  •  
  • 二、具体的訴訟事件で裁判所から、憲法適合性について判断を求められたとき
  •  
  • 三、具体的訴訟事件で当事者が最高裁判所の憲法判断を不服として提訴したしとき
第 条(憲法裁判所の判断の効力)
前条各号に関する憲法裁判所の判断は、国民と地方自治体及び国のあらゆる機関を拘束する。
第 条(選任方法、定員、任期、停年)
憲法裁判所の定員は九人とし、三人づつをそれぞれ国会、内閣総理大臣、最高裁判所が指名する。
2 憲法裁判所の長たる裁判官は、互選により指名する。
3 憲法裁判所の裁判官の任期は六年とし、再任されない。
第 条(憲法裁判所裁判官の資格)
憲法裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある、年齢四十歳以上の者の中からこれを指名しなければならない。 2 憲法裁判所の裁判官は、満七十歳に達したときには退官しなればならない。
第 条(規則制定権)
憲法裁判所は、審理に関する手続、裁判所内部規律及び事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
第 条(身分保障)
憲法裁判所裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法にのみ拘束される。
2 憲法裁判所の裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。憲法裁判所裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
3 憲法裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。

第 章 司 法

 
第 条(司法権の機関と裁判官の職務上の独立)
司法権は、憲法裁判所が所管する事項を除き、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第 条(最高裁判所の規則制定権)
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第 条(裁判官の身分の保障)
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
第 条(最高裁判所の構成、任期、定年)
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣総理大臣がこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官は、任期を十年とし再任を妨げない。
3 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
4 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第 条(下級裁判所の裁判官)
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣総理大臣がこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
第 条(対審及び判決の公開)
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第 章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

第 章 財 政

 
第 条(財政国会中心主義)
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない
第 条(健全な財政運営)
国は、健全な財政の維持と運営に努めなければならない。
2 国の歳出は、公債または借入金以外の歳入を以って、その財源としなければならない。やむを得ず公債または借入金をなすときは、事前に国会の承認を得るとともに、その償還についての計画を国会に提出し、承認を得なければならない。
第 条(課税の要件)
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第 条(国費支出及び債務負担の要件)
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第 条(予算の作成)
内閣総理大臣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
2 内閣総理大臣が、多年度にわたる支出を要すると認める事業については、その年限を定め、継続予算として、国会の審議を受け議決を経なければならない。
第 条(予備費)
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣総理大臣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣総理大臣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第 条(皇室財産及び皇室費用)
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第 条(公の財産の用途制限)
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第 条(国の会計および決算)
国は、発生主義に基づく公会計の制度を設けなければならない。
2 国の収入支出の決算は、内閣総理大臣が、次の年度にすみやかに国会に提出しなければならない。
第 条(会計検査院)
国の予算が適正に執行されているかを調査し、また国の収入収支の決算を検査するために、会計検査院をおく。
2 会計検査院は、毎年国の決算を検査し、国会および内閣総理大臣に報告する。
3 会計検査院は、国会から調査を求められた事項について、改善を要すると認められたときは、すみやかに国会に報告するとともに、内閣総理大臣に対してその改善を命ずることができる。
4 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
第 条(財政状況の報告)
内閣総理大臣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。